エルメスの偽物の見分け方ガイド|30年以上の鑑定実績を持つプロが解説


世界で最も美しく気品に満ちたバッグとして知られるエルメスアイテムですが、それだけに偽物が多いのも事実。デザインを模したコピー品は形こそ似ているものの、そこにはエルメスの美に対する哲学や一流のクラフトマンシップが存在することはありません。


そんな粗悪な偽物品に騙されないためには、偽物と本物との見分け方などのバッグに対する知識と鋭い観察眼を養う必要があります。本記事では査定歴30年以上のエルメス専門鑑定士が、品質や特徴を確認するためのチェックポイントをレクチャーいたします。



※当社はエルメス専門店としての長年の経験から、独自の鑑定基準で商品の鑑定を行っております。


【保存版】エルメス偽物の最新傾向

エルメスの偽造品は、技術の進歩とともにその精巧さを増してきています。大切な投資の側面もあるエルメスの購入において、偽物を確実に見分けるための知識は不可欠です。


ここでは、近年の偽造品の特徴と傾向についてご説明いたします。


注目すべき最新の偽造傾向


昨今、以下のような特徴を持つエルメスの偽物が増加しています。


  1. 精巧な刻印の偽造:本物の刻印をデジタルスキャンし、精密に再現
  2. 本物の付属品を利用した偽物:箱やレインカバーは本物でバッグ本体は偽物
  3. 複数モデルの特徴を組み合わせた偽物:実在する異なるモデルの要素を組み合わせ、一見すると違和感の少ない仕上がりになっている偽物


近年は3Dスキャン技術の進歩により、正規品の精密な型取りが可能になっています。また、本物の製品を分解して製造方法を研究し、高品質な素材を使用するなど、偽造技術は着実に向上しています。


その結果、熟練の専門家でさえも判別に時間を要する、非常に精巧な偽造品が市場に出回っているのが現状です。


このような状況だからこそ、正規品を購入する際は、信頼できる販売店を選ぶことが何よりも重要です。


よくある相談内容と解決方法


近年、SNSやフリマアプリでの個人間取引が活発化する中で、偽造品に関するトラブルが増加しています。以下では、事例とその予防策についてご説明いたします。


  1. 「インスタグラムで見つけた個人販売者から購入。正規店購入品との説明で、領収書の写真も添付されていた。けれど届いた商品は精巧な偽物だった」
  2. 「海外在住の日本人から、現地のエルメス正規店での購入品として紹介された。でも実際は偽物だった」
  3. 「有名人風のアカウントから、個人的なコレクションの一部として販売された商品が偽物だった」


このようなトラブルに巻き込まれないためには、次のような対策を取るのがおすすめです。


  1. 取引前の販売者を確認する:実在性、過去の取引実績など
  2. 商品の詳細写真を要求する:刻印やシリアルナンバーなど
  3. 正規販売店での購入履歴を確認する:購入時のレシートなど
  4. 取引記録やメッセージのスクリーンショットを保存する


状況別:エルメスの偽物を見分けるポイント


エルメスをご購入いただく際、偽造品を見分けるポイントは購入のタイミングによって異なります。


ここでは、ご購入前・オンラインご購入時・ご購入後の3つのタイミングに分けて、確認すべき重要な点について詳しくご説明いたします。


購入前:販売店の信頼性や価格の妥当性をチェック


エルメスご購入前の注意点は、大きく下記の3つです。


販売店の信頼性確認

  1. 実店舗の有無:実店舗がない、または住所が不明確な場合は要注意
  2. 会社情報の透明性:概要が不明確、代表者名が記載されていない場合は要注意
  3. 古物商許可証の確認:許可番号の記載がない場合は違法の可能性あり
  4. 過去の取引実績やレビュー:レビューが全て満点だったり評価が極端に少ない場合は要注意


価格の妥当性チェック

  1. 相場からあまりにも安い価格:中古品でも正規価格の50%以下は要注意
  2. 「特別価格」「限定価格」の謳い文句:「正規店より安い」という表現は基本的にあり得ない
  3. 正規品の価格帯を把握しておく:バーキン170万円〜、ケリー170万円〜、コンスタンス160万円〜(※サイズや素材により価格は変動)


付属品の確認

  1. 保存箱:2000年以降はオレンジ色
  2. レインカバー:エルメス純正はビニール素材ではない
  3. ショッパー(紙袋):紙や持ち手の材質や結び方を確認
  4. 販売店レシート:店舗名、日付、商品名、価格の記載等を確認
  5. ケアカード:フランス語と英語での記載、商品情報と一致しているか確認


オンラインショップ購入時:商品詳細の有無や販売サイトの信頼性を確認

エルメスを正規店ではないオンラインショップでご購入する際は、下記の点に注意が必要です。


写真のチェックポイント

  1. 全体像がわかる写真があるか:正面、背面、両サイド、底面の写真で詳細を確認
  2. 刻印部分の鮮明な写真があるか:刻印周辺の革の状態も確認できるか
  3. 内部の写真が提供されているか:ポケットやタグの状態が確認できるか
  4. シリアルナンバーの写真があるか
  5. 光の加減で各要素が見えにくくなっていないか


商品説明の詳細度

  1. サイズ、年式、素材の明記:製造年の明確な記載(アルファベット刻印との整合性)
  2. 傷や使用感の詳細な説明
  3. 付属品の有無の明記
  4. 入手経路の説明:正規店購入品の場合はレシートの有無


販売サイトの信頼性

  1. SSL証明書の確認:URLが「https」で始まることを確認
  2. 問い合わせ窓口の存在:メールアドレスが実在する企業のものか
  3. 返品・返金ポリシーの確認:返品可能期間の明記 など
  4. 支払い方法の安全性


購入後:状態・サイズの確認と必要に応じて専門家へ相談


ご購入後、できるだけ早いタイミングで以下の点をご確認ください。


写真による記録(証拠保管のため)

  1. 受け取り時の状態を撮影:配送箱の開封前の写真(配送伝票含む)や梱包状態、開封直後の全体像など
  2. 付属品も含めて撮影
  3. 気になる部分は詳細に撮影:ステッチの均一性、革の質感など


基本的なチェック項目

  1. サイズの計測
  2. 重量の確認
  3. 素材の質感確認
  4. 刻印の確認
  5. 縫製の確認:ステッチの均一性、ほつれなど


このように、偽物かどうかを確認するには非常に多くのステップが必要になります。安心してエルメス製品を購入するには、本当に信頼できる正規店及び専門店でのご購入がおすすめです。


エルメス専門店「XIAOMA」では、10から30年以上の鑑定歴を持つ専門鑑定士が、独自に定めた厳しい基準に基づき、一点一点丁寧にチェックした製品のみを取り扱っております。お客様に安心してお選びいただけるよう、品質の確認体制を整えております。


▶︎XIAOMAについて詳しくはこちら


【プロの鑑定士が教える】エルメスの偽物の見分け方10のポイント

エルメスの真贋判定には、長年の経験と深い専門知識が必要とされます。一つひとつのアイテムには、エルメスの職人たちが重ねてきた伝統と技術が息づいているからです。


ここではエルメス製品を見分けるための10の重要なポイントを、プロの鑑定士の視点からご紹介いたします。これらの判断基準は、製品の外観から内部の仕様、そして付属品に至るまで、体系的かつ総合的に品質を確認する指標となります。


1:サイズ/レザー/カラー/モデルの一貫性

バッグを購入する前に細部まで徹底的にチェックすることが重要です。サイズやレザーの種類、色などに違いがあれば、それはコピー品である可能性が高いです。


例えばスペシャルエディションではない限り、バーキンのサイズは25、30、35、40、45、50cmしか存在しません。


エルメスはバッグのサイズ規定が正確なので、底面に沿って計測することで品質を確かめることができるのです。

※上記でご紹介しているサイズは製法(外縫い・内縫いなど)や使用状況(バッグインバッグの使用など)によって若干異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。


同様に特定のモデルに使用されていない皮革素材や色もあるので要注意。サイズが違っていたり、存在しない色の場合には、そのバッグが偽物である証拠です。


下記の記事ではエルメスの素材やカラーを一覧で紹介しています。ぜひ参考になさってください。


▶︎エルメスの素材一覧はこちら

▶︎エルメスのカラー一覧はこちら


2:全体的な品質

まずは全体的な質感や品質をチェックしましょう。エルエスのバッグに精通している人なら偽物を手に取った瞬間、全体的なバランスの悪さや品質に違和感を覚えるはずです。


エルメスのバッグは縫製や素材に対して厳しいチェックが行われているので、少しでも不自然さを感じた場合には購入を控えることをおすすめします。


中古のバッグでは傷や摩耗、経年変化による色の違いを見ることもありますが、新品で購入する場合には全てにおいてパーフェクトな状態を保っているはずです。



バッグの底面とハンドル部分の色の違い、バッグの正面と背面の質感、両サイドのギャザー部分の素材感を比較して、レザーの質感にバラ付きがあるものは偽物の証拠になります。


熟練の鑑定士は素材や色だけでなく、開口部に指を沿わせてレザーの厚みと滑らかさをチェックすることで本物か偽物かを見極めます。


裁断の正確さと共に皮革の厚さが均一であること、そして「コバ」と呼ばれる裁断面の処理の美しさも偽物か本物かを見分ける大きなポイントになるのです。


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3:構造

本物のバーキンやケリーバッグなどには底面に4つの鋲が使われ、しっかりと直立するように調整されています。水平な場所にバッグを置いたとき、傾くことや倒れることはありません。



バッグのハンドル部分はしっかりと立ち上がり、曲がってしまうことや折れ曲がることもありません。


またバーキンは使いやすさを追求するため、正面のハンドルは短めの設計となっています。つまりハンドルが前後きっちり同じ長さである場合、それは偽物の証拠となります。



4:スタンプと刻印

エルメスの刻印とブランドのスタンプに注目してください。


エルメスのスタンプはバッグ正面の中央、ステッチ下の革部分に押されています。文字の間隔は均一で文字もクリアで太さも揃っているのが特徴です。


また、エンボスは革にダメージを与えないように優しく刻印され、刻印に使用されるフォントの色は金具と同一であることが重要です。



ただし、バレニアとヴォーシャモニーでは型押しに色はなくエンボスのみです。下記はバレニアの刻印部分です。▼



エキゾチックレザーが使用されている場合、素材を示す刻印が押されています。下記はクロコダイル ポロサスのバーキンの刻印箇所ですが、「Λ」の刻印が押されています。▼



▶︎エルメスのエキゾチックレザーガイド


エルメス製品には製造年とバッグを手掛けた職人を示す刻印が押されています。この情報は図形、記号、文字、数字の組み合わせで表示され、複雑な形状は模造を防止すると共に真贋を見極めるための対策なのです。



例えばバーキンはモデルによっても異なりますが、刻印はバッグの隠れた場所にエンボス加工で入れられています。多くのバッグはストラップの内側、アウターポケットの内側、サイドパネルの内側上部に押されていることが多いです。


以下は代表的なモデルの刻印の場所の一例です。ご参考になさってください。



このほかの代表的なモデルの刻印の場所は、下記の記事で解説しています。


▶︎【2024年最新版】エルメスの刻印一覧|製造年代や意味を解説


刻印の有無だけでなく、バッグの色、素材、生産年が一致しているのかもしっかりと確認すること。もし刻印の情報と一致しないのであれば、そのバッグは偽物である可能性が高いです。


5:金具とクロシェット

偽物に使用される金具は過度に輝いていたり、磨き傷が残ったままメッキ加工が施されていたりと品質の低さが露呈しています。


また、金具部分の構造でも偽物か本物かを見分ける方法があります。例えば下記は本物の画像ですが、偽物は赤いラインで示したような箇所がなかったり、不自然に幅広だったりします。



たとえ中古のバッグであっても、金属の摩耗が激しすぎるものや輝きが不自然なものはありません。精度の高いエルメスでは経年変化による劣化は小さく、光沢を失うことや欠損することは少ないのです。


例外としてブラックの金具は傷が付きやすいという理由で製造中止になりましたが、この希少性がコレクターの間では大きな魅力になっているようです……。



また、ターンロック、カデナ(南京錠)、クロシェットの鍵、鋲(足)は同一の品質、カラーが与えられているのでひとつでも不自然さがあれば本物かどうかを疑う理由になります。



金具部分に緩みやガタ付きのあるものは偽物である可能性が高く、偽造されたエルメスに多く見られる特徴と言えるでしょう。


また、例えば新品の金属箇所などに貼られている保護フィルムは無色透明です。



白やブルーの保護フィルムが貼られている場合、それは偽物の証拠となります。ただし最近では保護フィルムもコピーされ、偽物でも透明の保護フィルムが貼られている場合もあるので注意してください。


さらにバーキンのクロシェット(鍵を収納する革製のケース)は、必ず一枚の革で作られているため、素材感やシボの入り方が同じになるのが特徴です。前後で素材感が異なるものや2枚の革で作られているものはコピー品の証と言えるでしょう。



金具の刻印の入り方にも真贋ポイントがあります。



本物は上記のように刻印が明澄に入っていますが、偽物は少し滲んだように刻印が入っているケースがあります。その理由は、刻印の断面がガタついているためです。



6:ステッチ

エルメス製品を縫製するステッチでも本物か偽物かを見分けることができます。


エルメスは高度な縫製技術が大きな魅力になっていることもあり、バーキンにはサドルステッチと呼ばれる独特の2本針を使った手縫いが用いられています。



1年以上もの練習期間を経た熟練の職人がひとつひとつ丁寧に縫製したステッチは縫い目も均一で糸のほつれなどはありません。機械を使った大量生産品のコピー品とは異なり、本物のエルメスアイテムは美しいステッチが大きな特徴なのです。


7:ジップとカデナ

ジップの品質はバーキンのエルメスアイテムが本物か偽物かを見極める大きなポイントです。


エルメスに使用されるジッブは斜めに倒れることは無く、常にジッパーと平行に保たれるように設計されています。ジッパーのプルタブはバッグの素材と統一されているので、異素材や色が異なることはありません。



ジッパーには大文字で「H」、または「Hermès」と記され、古いバッグの場合には四角で表示されています。



YKKのようなファスナーメーカーのロゴが入っているものは偽物の証であり、本物かどうかを確かめるまでもありません。


同様にカデナ(南京錠)の番号は鍵の番号と一致していることも重要なポイント。番号の無いものや番号が違っているものは論外です。


例えばホワイトのバーキンにはホワイトのカデナ、エキゾチックレザーのバーキンには同じ皮革でカバーしたカデナが装備されています。



8:ライニング(裏地)

バッグの裏地はエルメスにとって非常に重要なものであり、裏地だからと言って手抜きをすることはありません。


多くのエルメス製バッグの裏地にはシェーブル、ゴートスキン(シボ加工を施した革)が使用されています。



裏地がないものや布、ビニールが使われているものは偽物です。


また、裏地の縫製も重要ポイント。ステッチが乱れているもの、縫い目の間隔が不揃いなものも同様、粗悪な偽物の証です。


裏地をもとにしたエルメスの偽物の見分け方としては、エルメスのHPで外装と内装の配色を確認することが挙げられます。使われている色の組み合わせが存在しなければ、そのバッグはコピー品である証拠です。


9:パッケージとダストバッグ

エルメスは鑑定書を発行していません。つまり皮肉なことですが、鑑定書は偽物の証明書でもあるのです。


しかし、エルメスに精通したXIAOMAでは取り扱う全てのバッグについて、独自に定めた厳しい品質基準に基づき一点一点丁寧にチェックを行い、基準を満たした製品には、独自の鑑定証明書を発行しております。


▶︎XIAOMAの鑑定士


本物のエルメスアイテムは梱包にビニール素材を使用することはありません。それは革を傷める可能性があるためです。


またケリーやバーキンにはレインカバーが用意され、製造年によって異なりますが、一つまたは二つのストラップを使ったダストバッグに入れて渡されます。


ダストバッグは高品質で、タンのベロア、オレンジのコットンフランネル、ベージュのキャンバスのいずれかとなり、生地は厚くドローストリングや縫製もしっかりとしています。スペシャルオーダー品では稀にシルクのダストバッグに入れられる場合もあります。


近年、エルメスの箱にはUV(紫外線)ライトを当てると浮かび上がるブランドマークが入れられ、偽造の防止に役立っています。


10:匂い

エルメスは最高品質のレザーを使用しているため、その香りを再現することは困難です。


例えば新品のバーキンは芳醇な土を思わせる特有の香りが特徴です。


一方、粗悪な偽物には粗悪なレザーやビニールが使用されているため、化学薬品やゴム製品のような強烈な匂いがするはずです。


上質になめされた革はそれぞれに異なる匂いを持っており、熟練した鑑定士は革の匂いをかぎ分けることができるのです。匂いと革の種類が合致しなければその製品は偽物ということです。


エルメスの偽物は品質のチェックで見極められる

XIAOMAでは10年から30年の経験を持つ熟練の鑑定士たちが、独自に定めた厳しい品質基準に基づき、一点一点の製品を丁寧に確かめています。



それはエルメスを愛するユーザーが安心して「憧れ」を手にするためでもあり、エルメスのバッグに対する哲学、一流のクラフツマンシップ、そして情熱を次世代へと伝えるためのお手伝いでもあるのです。


お品物に関するご相談やお悩みがございましたら、どうぞお気軽にXIAOMAまでご相談ください。


▶︎XIAOMAについて詳しくはこちら


※当社はエルメス専門店としての長年の経験から、独自の鑑定基準で商品の鑑定を行っております。