エルメスのエキゾチックレザーガイド

エルメスのエキゾチックレザーガイド

クロコダイル、アリゲーター、リザード、オーストリッチなど、レアでエキゾチックなレザーバッグを探そう

 

誰もが憧れるエルメスのバッグたち。そのなかでもエキゾチックレザーと呼ばれる上質な革を使ったアイテムは特別な存在として高い人気を誇っています。そしてエキゾチックレザーを使用したモデルの中で最も注目を集めているのが「ヒマラヤ」です。艶を抑えたマットなニロティカ・クロコダイルを素材とし、その名前の通り雪を抱いたヒマラヤの山頂を思わせるソフトなグレーから純白へと絶妙なグラデーションで表現されています。

エルメスは美しさを追求するため、常に最高品質のレザーを探し求めています。その規模はオーストラリア、アマゾン、アフリカ大陸に至るまで、地球上のあらゆる地域に及んでいると言っても過言ではありません。エルメスが追求する代表的なエキゾチックレザーとして最上級を誇るポロサスクロコダイルにはマット仕上げと光沢のあるリッセ仕上げの2タイプが用意され、さらにはニロティカス・クロコダイル、オーストリッチ、リザードを使った「グラン・マリアージュ・バーキン・ギリーズ」のように複数のエキゾチックレザーをひとつのバッグに組み合わせることもあるのです。

ファッションに興味がある人でもレザーの種類を言い当てることは簡単ではありません。そこで、ここではエルメスが手掛けているエキゾチックレザーの見分け方をご紹介します。実はエルメスの刻印の横にはレザーに関する情報が刻まれ、その解読方法さえ知っていれば使用されているレザーの種類を簡単に見分けることができるのです。


ポロサスクロコダイル/エルメスの刻印 ^ カレット

流麗な斑紋が魅力のポロサスクロコダイルはエキゾチックレザーの最高峰として高い人気を誇っています。同素材はウロコの一枚一枚の小さな孔(穿孔)があることで見分けることができ、繊細な四角形がシンメトリーに連なるワニ革ならではの美しさは圧巻であり、世界中の女性たちが憧れる存在として君臨しています。エルメスはこのポロサスクロコダイルをオーストラリアで養殖し滑らかな腹と両腹部分のみを利用。同素材はサイズが大きいこともあり、大型のケリーやバーキンに最適とされています。ポロサスと呼ばれるワニは縄張り意識が高いため、それぞれを独立させて飼育しなければなりません。手間とコストが高くなりますが、独立して飼育することで傷のない美しい革を手に入れることができるのです。

このエキゾチックなレザーには艶を抑えたマットと光沢のあるリッセの2タイプが用意され、美しい光沢を放つリセはメノウを使って丁寧に磨き上げることで宝石のような光沢を放つのです。

ニロティカス・クロコダイル/エルメスの刻印 .. ジアエリス

ニロティカスはポロサスに比べてウロコが大きく左右対称ではない傾向がありますが、刻印を見なければその違いに気付くことは少ないでしょう。このクロコダイルはジンバブエのナイル川で養殖され、それが名前に由来になっています。ニロティカスと呼ばれるクロコダイルにはマットなものと艶のある2種類が用意され、共に高い人気を誇っています。大きなウロコは磨きを掛けることで美しさが際立ち、迫力のある絵画のような存在感を放つのも大きな魅力。同素材はポロサスよりも耐久性に優れていますが水に弱いので注意が必要です。一般的にニロティカスはポロサスよりもリーズナブルな傾向にありますが、例外としてマットなニロティカスを使用したヒマラヤは高価な存在として知られています。手間の掛かる染織技法を用いることで、ブラウン、グレー、ホワイトのグラデーションを演出したヒマラヤのコレクションは希少な存在となり、数々のオークションで驚くような価格で取引されています。

アリゲーター・ミシシッピエンシス/エルメスの刻印 □ 正方形

アリゲーターの皮革はクロコダイルに似ていますが、大きな長方形の鱗と畝が荒いのが特徴。クロコダイルは鱗の間に穿穴(呼吸をする穴)がありますが、アリゲーターはお腹を地面に着けて移動するアリゲーターにはありません。アリゲーターの斑紋は明確で、レザー自体にも厚みがあることからクロコダイルよりも耐摩耗性に優れています。アリゲーターはミシシッピ川に生息している種ですが、エルメスではアメリカのテキサス州で養殖・管理することで高品質のレザーを確保しています。このアリゲーターにもクールな表情を持つマットと美しい艶を放つシャイニーが用意され、美しさを競い合っているのです。

カイマン・クロコダイル/エルメスの刻印 ○ 円マーク

現在、残念なことにカイマンは良質な資源を安定的に確保することができないため生産が中止されています。カイマンは皮革自体が薄く、フラットで長方形の鱗を持っているのが大きな特徴。市場では生産中止の影響を受けてヴィンテージモデルが再評価され、コレクションとしての価値も大きくなっています。

 

Varanus Niloticus トカゲ/エルメスの刻印 −ハイフン

エルメスが使用するエキゾチックレザーの中でもレアな存在がリザードです。アフリカオオトカゲの皮革はニロティカスと呼ばれ、使用モデルはとても少なく貴重な存在であることは間違いありません。小さな楕円形の鱗が並ぶ網目状の模様は美しく光沢のある表皮はラグジュユアリーな贅沢さを放つのが大きな魅力。トカゲの革はその種類の大きさから、バーキンクラブなどのコレクションに使われるトリミング部分や小さな皮革製品、一部の小さなバッグに使用されています。ニロティカスは乾燥しやすいというデリケートな性格を持ち、定期的なメンテナンスと共に丁寧な扱いが必要になります。

Varanus Salvator Lizard(通称:ナチュラル・リザード、オンブル・リザード/エルメスの刻印 =ダブルハイフン

サルバートルトカゲは東南アジアに生息するオオトカゲです。その希少性は価値が高く、エルメスではレザーが持つ風合いを損なわないよう最小限の加工に留めているのです。サルバートルトカゲの鱗は美しいヘキサゴン形状(六角形)が特徴で、エキゾチックな皮革は自然の造形を誇るグラデーションデザインに使用されています。オンブレ・リザードのバーキンやケリーバッグは最も希少な存在であり、リザードを使用したヒマラヤと言われています。ただし、リザードは水に弱く繊細なこともあり、使用する際には注意を払わなければなりません。

オーストリッチ/エルメスの刻印 なし

ダチョウの革として有名なオーストリッチ。特徴的な模様(エルメスが生産を中止したエミューを覗く)は他の皮革とは異なる個性的な風合いが大きな魅力です。そのため、エルメスの刻印の横にはオーストリッチを示す特別なシンブルマークは刻まれていません。レザー全体に広がる水玉模様のようなクイルマークが特徴となり、この悔いるマークが多ければ多いほど価値が高くなります。エルメスが使用するダチョウは南アフリカで養殖され、高い品質と安定した供給を実現しています。高品質なオーストリッチは経年変化や光を浴びることで色の変化を楽しむことができ、使い込むほどに味わいが深くなる希少な素材として高い人気を誇っています。

ワシントン条約証明書の取得方法

エキゾチックレザーを使ったバッグや小物類を購入したり、購入したバッグを持って海外へと渡航する際にはCITES(ワイントン条約)の証明書が必要になる場合があります。購入する場合には必要な書類がしっかりと揃っていることを確認することが必要です。また、証明証が無い場合にはエキゾチックレザーのバッグを持っての渡航や海外への発想は控えましょう。税関で証明書を提示し、エキゾチックレザーを使ったバッグが絶滅危惧種から作られたものではないことを証明しなければ、バッグが没収される可能性があるからです。この章名称は3ヶ月で失効するため、失効しているのであれば旅行前に更新しておきましょう。ワニ、アリゲーター、トカゲの皮革はワシントン条約の証明書が必要になる場合がありますが、オーストリッチに関しては必要ありません。