エルメスのケリードールとは?誕生の背景と魅力を解説

エルメスの「ケリードール(Kelly Doll)」は、ケリーバッグをモチーフにした遊び心あふれるデザインで、登場以来コレクターから絶大な人気を誇るモデルです。


2000年にミレニアムを記念して誕生し、現在ではその希少性からリセール市場で定価を大きく上回る価格で取引されるコレクターズアイテムとなっています。


本記事では、ケリードールの誕生背景や特徴、注目のモデル「ピクト」、さらにリセール市場での価格帯や素材・カラー展開まで詳しく解説します。


エルメス「ケリードール」の基本情報


ケリードールは、ケリーバッグを擬人化したユニークなデザインで知られています。サイズは縦16cm、横12cm、マチ6.5cmと小ぶりながら、存在感のあるフォルムが特徴です。


ターンロックが鼻のように見え、曲げられるサングルが腕の役割を果たし、足や目・口・眉毛までがデザインに取り入れられており、まるで表情を持ったキャラクターのような愛らしさを演出しています。


名前の由来はフランス語の「Quelle Idole(なんてアイドル!)」で、英語読みした「Kelly Doll」とのダブルミーニングになっている点も遊び心にあふれています。


このモデルは、2000年のミレニアムを記念して誕生しました。そのアイデアは、当時エルメスの経営を率いていたジャン=ルイ・デュマによる「座っているキャラクターのスケッチ」から生まれたとされています。


デュマは1978年から2006年までエルメスを率い、同社を伝統的な馬具ブランドから世界的なステータスシンボルへと押し上げた人物です。


ケリードールは、彼のユーモアと創造性が形となった象徴的なモデルであり、エルメスのクラフトマンシップと遊び心を同時に感じられる特別な存在となっています。


ケリードールが高い理由

ケリードールは、エルメスの中でも特に高額で取引されるモデルです。その理由は大きく3つあります。


まず、生産数が限られていること。熟練職人による手作業で製作されるため大量生産ができず、年間の流通数はごくわずかにとどまります。


次に、記念モデルや限定復刻が多いこと。2000年の初代モデル以降、ブティックオープンや特別イベントを記念して少量が作られてきましたが、同じデザインが再生産されることはほとんどなく、一点一点がコレクターズアイテムとしての価値を高めています。


さらに、資産性の高さも理由のひとつです。単なるファッションアイテムにとどまらず、リセール市場では定価の数倍で取引されることも珍しくなく、近年ではオークションで数百万円から数千万円の落札実績が相次いでいます。そのため、コレクターや投資目的での需要も強く、価格を押し上げています。


▶︎「バーキンとケリーどちらがレアか?」という比較もよく話題に上がります。詳しくは バーキンとケリーの比較記事 をご覧ください。


ケリードール限定モデルと人気のチャーム


ケリードールは2000年に初登場した際、瞬く間にコレクターズアイテムとなりました。その後、特別なイベントやブティックのオープンを記念して、限定モデルやチャームとして復刻されています。


  1. 2000年の初代ケリードール:約2,500ドルで販売され、オレンジ(93)やブラック、ルージュアッシュなど8色展開で登場。
  2. 2008〜2010年の復刻モデル:世界各地のブティックオープン記念として少量生産。中でも2010年の香港そごう限定「5Pピンク」は特に希少。
  3. 2011年 高島屋東京コラボ:オレンジのカーフレザーを使った2Dケリードールチャームを発表。
  4. 2021年 3Dチャーム:ケリーツイリーチャームと並び、「最も可愛いエルメスアクセサリー」として話題に。



これらの限定モデルやチャームは市場流通が極めて少なく、状態の良いものは高額で取引されています。


2022年登場モデル「ケリードール ピクト」

2022年春夏コレクションで登場した「ケリードール ピクト」は、従来のケリードールを大胆に再設計したモデルです。


  1. 特徴:ピクセル調デザイン、小型リュック付き(スマホ収納可)、ショルダーストラップ付き
  2. 素材:エプソンレザー
  3. 初期カラー:モーヴシルヴェストル/ナタ/ブルーサフィール
  4. 追加カラー:ブルーロイヤル/ヴェールフィズ/グリミスティ/ゴールド など


発売当初(2022年)の定価は約 $15,600(約230万円)。その後価格改定があり、2025年現在の米国定価は $17,600(約260万円) に上昇しています(出典:Sotheby’s)。


リセール市場では定価を大きく上回り、2023〜2025年のオークション実績では $50,000〜74,000(約740万〜1,100万円) の取引例も確認されています。


ケリードールの定価はいくら?


ケリードールの定価は、登場以来大きく変動してきました。特に限定性の高いモデルは発売直後からリセール市場で定価を大きく上回る価格で取引されています。


・初代(2000年登場時):約 $2,500(約37万円)

┗オレンジ(93)、ルージュアッシュ、ブラック など8色展開で発売(Sotheby’s

・ケリードール(2025年米国定価)$14,100(約208万円)

┗海外メディア Pursebop による報道値

ケリードール ピクト(2022年発売当初)約 $15,600(約230万円)

・ケリードール ピクト(2025年米国定価)$17,600(約260万円)

Sotheby’s による記録


このように、発売当初わずか数十万円だったケリードールは、現在では定価ベースでも200万円を超える価格帯となっています。


※価格はいずれも記事更新時点での参考値です。為替換算は1ドル=147.81円で計算しており、日本国内での公式販売価格とは異なる場合があります。相場や定価は今後変更される可能性があります。


ケリードールのリセール市場価格(中古販売相場)


ケリードールは、その希少性からリセール市場でも定価を大きく上回る価格で販売されています。状態や素材、カラーによって幅がありますが、近年の傾向を整理すると以下の通りです。


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オリジナル(2000年代初期/ガリバー素材など)


中古A〜ABランクで 500万〜600万円台。登場から20年以上経っても安定した人気を誇ります。


レザー(スイフト/ガリバーなど)


新品・未使用では 約1,000万円前後。特にインディゴやロイヤル系カラーは高額で取引されています。


エキゾチック(アリゲーターマットなど)


未使用で 2,500万〜3,000万円近い価格帯に達することもあり、コレクターの憧れの的となっています。


ケリードール ピクト(2022SS〜)


定価(約260万円)に対し、リセール市場では 850万〜1,000万円前後で販売。人気色やエキゾチック仕様はさらに高額になる傾向があります。オークションでも最高で 約1,100万円(2023年ブルーサフィール/Sotheby’s実績) に達した例があります。


ケリードール チャーム


アクセサリーサイズながらも 50万〜65万円前後で販売。可愛らしいデザインと希少性から、バッグに次ぐ人気アイテムとなっています。


このように、通常のレザーでも定価の数倍、エキゾチックや限定品に至っては数千万円規模で販売されるなど、ケリードールは「遊び心のあるバッグ」でありながら資産性も兼ね備えた存在となっています。


エルメス全体の主要モデル別相場を知りたい方は、エルメス買取価格表 もあわせてご覧ください。


ケリードールの素材・カラーのバリエーション


ケリードールは、その誕生以来さまざまな素材とカラーで展開されてきました。素材や色の組み合わせはリセール市場での人気や価格にも直結するため、コレクターにとって重要なチェックポイントです。


素材のバリエーション

  1. ガリバー(Gulliver)/スイフト(Swift):初期から多く採用されている定番素材。柔らかい質感でカラーが美しく発色する。
  2. エプソン(Epsom):ピクト(2022SS〜)に多用されている型押しレザー。軽量で耐久性があり、ピクセル調のデザインとも相性が良い。
  3. アリゲーターマット(Alligator Matte):極めて希少なエキゾチック素材。ブルーゼリージュなどのモデルはリセール市場で数千万円規模に達する。
  4. オンブレリザード(Ombre Lizard):過去に特注モデルで登場したエキゾチック。流通は極めて稀。
  5. タデラクト(Tadelakt):チャームで採用されることが多い艶やかなカーフレザー。


カラーのバリエーション

  1. 初代(2000年登場時):オレンジ(93)、ルージュアッシュ、ブラック、ノワゼット、ブルーサフィール、オリーブグリーン、アップルグリーン、ルージュヴィフ
  2. 2008〜2010年復刻モデル:ブルージーン、ヴァーミリオン、5Pピンク(2010年・香港そごう限定)
  3. ピクト(2022SS〜):モーヴシルヴェストル、ナタ、ブルーサフィール、ブルーロイヤル、ヴェールフィズ、グリミスティ、ゴールド など


このように、ケリードールは素材やカラーによって雰囲気が大きく変わるだけでなく、希少性も価格を左右する大きな要因となっています。特にエキゾチック素材やピンク系カラー(例:ローズサクラ)は世界的に高い人気を集めています。


エルメス全体の人気カラーについては エルメスのカラー一覧記事 もあわせてご覧ください。


エルメスのケリードールを手に入れる方法


ケリードールは正規店での出会いが限られており、多くの場合はリセール市場を通じて探すことになります。


正規店での購入

エルメスの正規ブティックで案内されるケースもありますが、誰でも購入できるわけではありません。


顧客との関係性や購入履歴に応じて案内されることが多く、初めての来店で出会えることは非常に稀です。


リセール市場での購入

中古・新品を問わず、ケリードールの多くはリセール市場で流通しています。


リセール市場では状態や付属品を比較しながら選ぶことができ、さらに鑑定済み・保証付きの専門店を利用することで安心して購入できます。


また、オークションに出品されることもあり、レアモデルやエキゾチック素材のケリードールは数百万円から数千万円に達する価格で取引されることも珍しくありません。


チャームモデルの選択肢

フルサイズのケリードールは入手が難しいため、手軽に楽しめる選択肢として「ケリードールチャーム」も人気です。こちらもリセール市場中心の流通ですが、数十万円台から探すことができます。


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ケリードールに関するよくある質問(FAQ)


Q:ケリードールはなぜ高いのですか?

A:生産数が非常に限られており、特に限定モデルやエキゾチック素材は流通数が少ないためです。


また、可愛らしいデザインでありながら投資対象としての資産性も評価され、リセール市場では定価の数倍で取引されています。


Q:ケリードールとケリードール ピクト、どちらの方が人気ですか?

A:どちらも高い人気がありますが、近年は2022年に登場した「ピクト」が注目を集めています。


ピクセル調のユニークなデザインやショルダーストラップの実用性から若い世代にも支持され、リセール市場では定価の3倍以上で取引されることもあります。


Q:ケリードール チャームはいくらですか?

A:ケリードール チャームは約6.5cmの小型モデルで、リセール市場ではおおよそ50万〜65万円前後で取引されています。


バッグ本体より手に取りやすい価格帯で、コレクションとしても人気があります。


Q:ケリードールのどのモデルが一番レアですか?

A:2000年の初代モデルや、2010年の香港そごう限定「5Pピンク」、2015年シンガポール「Leather Forever」展で発表されたワン・オブ・ア・カインドなどが特に希少とされています。


近年では、エキゾチック素材のアリゲーターマットや、2025年にオークションで最高額を記録した「ローズサクラ×ショコラ ガリバー製」も、非常にレアで人気が高いモデルです。


希少性と遊び心で愛されるエルメスのケリードール


ケリードールは、2000年に誕生して以来、その遊び心あふれるデザインと高い希少性で世界中のコレクターを魅了してきました。バッグとしての実用性以上に「コレクション価値」「資産性」が評価され、リセール市場では定価を大きく上回る価格で取引されることも珍しくありません。


オリジナルのガリバー素材から、最新のピクト、そして希少なエキゾチック素材まで、どのモデルもエルメスのクラフツマンシップとユーモアが詰まった特別な存在です。


正規店で出会えるチャンスは限られていますが、リセール市場やオークションを通じて、自分だけのケリードールに出会える可能性は広がっています。


ケリードールは単なるバッグではなく、エルメスの「アイコンの中のアイコン」。その魅力を知ることで、改めてエルメスというブランドの奥深さを感じられるはずです。


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